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あや「はぁ〜あ。どうもうまくいかないわね〜……」

深いため息とともに、あやは呟いた。

くの一たちが都入りして3日目の昼下がりである。野営の中で武具の手入れをするあやとゆいの顔は決して明るくなかった。

あや「こないだの戦以来、『駅』は"けいさつ"とかいうヤツらに警備されて、うかつに近づけないし…。まぁ、"歌"の使い手たちもそんなとこに近づけないだろうから別にいいんだけど……」

それにしたって、収穫が無い。

『駅』の件で、ようやく"歌"を目に……いや耳にすることができたというものの、肝心の体得方法については皆目見当がつかないままなのだ。

苛立ちからか、忍者刀を研ぐあやの手にも要らぬ力が入る。

あや「まっずいわ…。あんまりのんびりしてると、成績に響きかねないし…。あ、そういやこの任務って、単位に関係してくるのかな?ねえ、どう思う、ゆい ……。ゆい……?」

対座しているゆいの姿に目をやると、彼女は武具をそっちのけにして、神妙な顔つきをしながら小刀で木切れを削っていた。

あや「ちょっと何してんのよ!あんたは手裏剣の手入れしろって言ったじゃ…」

激高して言いかけたあやの顔に、ゆいは手にしていた木切れを突きつける。

あや「な…なによ…!?」
ゆい「平常心」
あや「へっ?」

木切れは、まだ粗いながらも人の形を成している。ゆいは木像を彫っているのだ。

ゆい「焦りは忍者にとって禁物よ。上手くいかない時ほど、平常心で事におよばなきゃいけないわ。…あたしはね、小さい頃から、悩んだとき、困難に直面し たときはいつもこうして仏像を彫るの。御仏のお姿に向かい合い続けることで、心を平らかにしていくのよ」
あや「へ、へぇー…、あんたらしいと言えばらしいけど…」

ゆい「幼稚舎のとき、給食で嫌いなニンジンが出た時も、あたしは迷わず仏像を彫ったわ」
あや「…あ、あっそ…」
ゆい「この前の期末試験でも、算術の問題七がわからなくて悩んだとき、あたしは迷わず仏像を彫ったわ」
あや「…はぁっ?」
ゆい「それを先生に見咎められて職員室でお説教されてるとき時も、あたしは迷わず仏像を彫ったわ」
あや「ちょっ…ゆい…」
ゆい「わかる、あや?総ては平常心からなのよ」
あや「違うっ!あんたのはなんか違うっっっ!」

そんな折、出かけていたみきが戻ってきた。その頬は紅潮し、息も荒い。

みき「ねえねえふたりとも!これ見てっ!」

みきは興奮ぎみに、手にしていた一枚の紙をふたりに差し出した。

そこには、どぎつい色彩の見慣れぬ文字がちりばめられ、それに囲まれるように仁王立ちする一人の男の姿があった。男にしては髪が異様に長く、見たこと も無いような光沢を持つ衣服に身を包んでいる。そして…その両手には何かが抱えられていた。どこかで見覚えのある道具が。

みき「これ…この前『駅』で見た使い手たちが持ってた、"歌"を繰り出すための忍具じゃない?」
あや「そう?確か"ぎたあ"って言ったっけ?形は似てるかもしれないけど…こっちは随分ゴツゴツした形してるわよ」
ゆい「…無関係とは言い切れないわ。それに…気になるのはこの男の表情よ。異様な殺気をはらんでいるわ」
あや「うん…暗殺術の使い手に相応しい面構えね。ひょっとしたら、この前のヤツらよりも数段上の実力者なのかも」
ゆい「忍具の形の違いは、位の差を示しているのかもしれないわ」
みき「こーわーいーよーねぇー」

不意にあやは眉をひそめる。

あや「みき。これ、どこで見つけてきたの?」
みき「えっとねぇ、それが…道を歩いてたら建物の壁とかにたくさん貼ってあったの。すっごい目立ってた」
あや「えっ?なんで忍びの者が自分の絵姿をわざわざ人目に…。考えられない」
ゆい「果たし状の立て札…ってことかしら」

ゆいの一言に、一同は息を呑んだ。

あや「なるほど…。じゃあ近いうちにどこかで決闘があるってことね?」
ゆい「それも忍び同士の、ね。見て、この文字を。見たこともない形だわ。おそらくは"歌"の使い手だけが知りうる忍び文字。ここに決闘方法についての仔細が記されていると考えて間違いないわね」
あや「うぅ〜。もどかしいわね。解読できれば何かわかるのに…!」
ゆい「…ちょっと待って。これは……」

ゆいは紙の左下の部分を指差した。

ゆい「ここにあるの…地図じゃないかしら?」
みき「あっ、ほんとだ」
ゆい「この目立って大きな赤い丸印。これがおそらく果たし合いの場所よ」
あや「でかしたわ!この前あたしが調べあげたこの辺りの地形図と照らし合わせれば、すぐにどこだかわかるってもんよ!見つけ次第、潜入ね!」

浮き足立ったくの一たちは、直ちに地図の照合を開始した。

ここで、張り紙に記されていた忍び文字を、一応の参考までにこの書に書き写しておこうと思う。恥ずかしながらこの梟にも解読できない類いのものであっ たため、形を模写することしかできないが…。

「『HEAVY THUNDER FROM HELL!!』A HARD ROCK NIGHT at Live House "PURPLE HAZE"starring Death Math Club, Nightmare Comes True, CRUES NOVER」



中編へ続く


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卍 「シノビ塾」とは…
戦国の世から数百年続く”くの一”養成女学校。入学志望者激減のため、学校の存在をアピールして入学志願者を急増させなければならないという状況の中、生徒会役員三役の、「あや」「みき」「ゆい」に校長先生からの密命が!!くの一候補生達に下された、その密命とは一体…??
卍 「あや」プロフィール
「シノビ塾」"生徒会長"。今回の任務での首領格で、力強いリーダーシップを発揮してチームを引っ張る。ポジティブな性格。
卍 「みき」プロフィール
「シノビ塾」"生徒会副会長"。くの一らしからぬ天然キャラ。しばしば予想外の大ボケをかまして、ミッションを迷走させることも。控えめでナイーブな性格。
卍 「ゆい」プロフィール
「シノビ塾」"生徒会書記"。常にクールなしっかり者。幼少時は塾の東北分校(現在廃校)で修行していたため、まれに興奮すると東北訛りが出てくる。
卍 「梟」プロフィール
梟(ふくろう):この物語の語り部。「シノビ塾」校長より命を受け、3人の行動を影から見守り、学校へ報告しているお目付役。世情に通じたベテランの忍者で、ゆえに3人の世間知らずな行動に日々肝を冷やしている。
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